ロウバイ
幽けきものは冬の夜の風花の香冴え冴えわたる月のまなざし
----うおー、さみ〜!----
----真冬なんだからあたりまえだ。もう戻るぞ。----
----やだ!もちっとここにいる!----
----ったく、この冬のさなかに人様の家の庭に忍び込もうとはね・・・。----
----だってそうするしかねえっつたのお前じゃん。----
----お前がこんな夜中にこの家の人を起こそうとするからだろう!!----
----だって春の匂いがしたんだぞ。だったら確かめてぇじゃん、何がゲンインか----
----で?匂いをたどってきたらこの木の下にたどりつきました、って?----
----おお、その通りだ!!ヤセイのカンってやつだ!----
----アホか!とにかく、もう満足しただろ?帰るぞ?・・・野生児ってのにゃかわりねえけどな、確かに。----
----あ、なあなあ!----
----・・・んだよ?----
----あのな、この花で新しい発見したぞ----
----・・・?----
----こうやっていーっぱい花のにおい、吸い込むだろ?でも、においがするのってほんのちょっとなんだぞ。----
----・・・?----
----吸い込んだら吸い込んだだけ、いいにおいでいっぱいになると思うだろ?でも、いいにおいだ!って感じるのはほんの一瞬で次の瞬間にはもう忘れちまってるんだ。----
----ルフィ・・・----
----あっという間に、すぎちゃうんだ・・・でも、吸い込んだはずのにおいがまた、この花からしてくるんだ。だから悪い、もう、ちょっとだけ・・・ここだけ、春なんだから、だからもうちょっと。----
----・・・わかった。もう少しだけだぞ。あの月がもうちょっと傾いたら戻るからな。----
----ししし!----
----どうかしたか?----
----ゾロ、やさしいなあ!やっぱりダイスキだ!----
----お前・・・----
----お、照れてるのか?----
----・・・----
----殴ることねえだろ?いてえな----
**********
----ほら、手ぇかせ。赤くなってるぞ----
----んん。ゾロが、はあってしてくれたらあったかくなったぞ。そういやさ、この花、名前しらねえな?冬なのに、花だけ咲いてる木って初めてだ、すげーな!----
----鑞梅、だ。おい、ルフィおれは平気だから同じことしなくていい。----
----ロウバイ?・・・おかえし、だ。あったかいだろ?----
----ああ。おれの昔住んでたとこでも年があける頃咲いてた。----
----なんで、そんな名前なんだ?----
----花が鑞細工みたいだろう?・・・そっとさわれよ?----
----あ、ホントだ。よく見るときいろく透き通ってる・・・へっくしゅん!!----
----ほら、言わんこっちゃねえ、帰るぞ。----
----ん、おお!ネコだ!ネコ!ふわふわだ!お前、どしたんだ?こんなとこで?----
----人の話聞いてねえな?----
----うおー、でっかくって重たいなあ、お前?シマトラ模様だな?お?ごろんごろん言ってるぞ?----
----なつっこいネコだな----
----お前もさわってみろよ?すごいあったけぇ!----
----もう離してやれって。あんまり強く抱くから暴れてるぞ?----
----お?ごめんなー。----
----きっと帰る家があるんだろ。----
----そうだな・・・じゃな、バイバイ。ネコ離したら何か、また寒くなった。----
----ほら。----
----サンキュー!ゾロにぎゅーってしてもらうのがやっぱり一番あったけえよ。----
----そりゃどうも。----
----・・・もっと、いっぱいくっつきたい。----
----は?----
----何か、邪魔だ、このおれとお前の間にある服とか!とっちゃえ!----
----おいおい・・・まさか、こんなとこで・・・----
----する?----
----お前、何考えてんだ?正気かよ、こんな真冬の人の家の庭先で。別に戻ってからだって----
----戻ったらみんないるし。----
----そりゃそうだが。寒いだろう?----
----ゾロがあっためてくれんだろ?----
----・・・了解。ったく船長命令じゃな。----
----しししし!!----
**********
----んっ!----
----寒いんだろ?鳥肌たってここ、尖ってるぜ。----
----っんあ!・・・----
----けど、いつもより敏感になってるな、お前。----
----・・・や・・ゾロの手・・・も熱い----
----っと!倒れそうだな、おれに掴まってられるか?----
----ん、大丈夫。----
----挿れるぞ?----
----くっ・・・----
----やっぱり身体が寒くて縮こまってるんだよ・・・痛いだろう?やめるか?----
----・・・やだ!いたくなんかない!・・・っ----
----しょうがねえな。ちょっとこの木の下の芝の上、横になれ。----
----ヤ・・・抜いちゃヤ・・・え?・・・あ、やだ!そんなとこ、・・・!!----
----黙ってろ。ちょっとでも濡らさないとキツイだろうが。----
----でも・・・ヤ・・・ァ、な、舐めちゃ、いや・・・----
----そんな、震えてんな。もちっと我慢しな。----
----・・・・っ!!!----
**********
----このまま・・----
----ん!・・・なに・・・っ!----
----どこか二人で遠くに行っちまえたらな----
----あ・・・なんで、そんなこと・・・!・・・----
----悪ぃ、笑えねぇ冗談だ。----
----・・・え?ーーーあっ!!!----
----・・・っ!----
**********
----悪い。大丈夫か?ルフィ?----
----ん。ああゾロ、コート返す。----
----無理すんな、もちょっと横になってろ。----
----もう平気だ。それよりゾロこそ寒いだろ?・・・よっこいしょ!・・・なあ、ゾロ、ひさしぶり。----
----あ?----
----ひさしぶり、って言ったんだ。あの、ビビの国でさ。目ぇ覚めたらお前いなくてそしたらお前が部屋入ってきて。ゾロがおれを見て、ゾロがおれに声をかけるのもひさしぶり、ゾロとするのもひさしぶり、・・・思い出したんだ。----
----ルフィ?----
----やっぱり、身体のどっかで離れてたカンジってわかるんだろうな。----
----それは----
----ゾロ、おれ、欲張りだから!----
----なんだ、急に----
----もう、そんな思いするのはいやだ。----
----わかったよ、ルフィ。忘れるひまなんて今度からやらねぇからな。覚悟しとけよ?----
----んん!良いよ!でも何か今の笑い方、悪人みたいだったぞ?----
----てめぇで誘っておいて何言ってやがる。----
----ん!・・・おてやーらかに、だっけ?ししし!----
----さて、と。月があんなに傾いてる。----
----じゃ、名残り惜しいけど、・・・。----
----じき、夜明けだ。・・・こうやってあといくつか夜明けを越えたら今度は春だ。----
----そうだな!ゾロ、手!手つないで帰るぞ!離れてたぶん、取り戻すんだ!----
強きものは君の鼓動君の言葉冴え冴えわたる君のまなざし・・・僕を地上に引き戻す
end
すいません〜!クリスマスのお話が煮詰まったからこれでまたお茶を濁そう作戦・・・。
言葉だけで表現(エロ含む)しようとして失敗した例・・・ちーん。
どう?ぬるくないゾロルかな?(聞いても)
やっぱりこの2人は一緒にいて、そして求めあってなんぼでしょう!!(求めあってってとこ、深読みしないで/笑)
この間の週末、実家に帰ったらちょうど鑞梅が咲いてました。
いい香りなんだよねvこれが咲くと春はもうじき、って感じがして大好きな花のひとつです。
なのにそれをネタにするか・・・ちーちゃん。
本当は背景もそれにしたかったけどさすがになかったから黄色い椿で代用。
ちなみに、こんな素敵ゾロルが庭先で展開されてたらネコの背中にハンディカム取り付けて撮影しますともさー!!(笑)